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季節の観察

秋の野鳥観察ガイド:渡り鳥の南下シーズンを楽しもう

どこでもいきものマップ 編集部

秋は、野鳥観察を始めるのに絶好の季節です。涼しく過ごしやすい気候の中、多くの鳥たちが冬を越すために南へと渡っていきます。この時期、日本は渡り鳥たちの中継地となり、普段は見られない鳥たちに出会うチャンスが豊富にあります。今回は、秋の渡りの季節に観察しやすい代表的な野鳥であるモズ、ジョウビタキ、ツグミの魅力と、その観察のポイントをご紹介します。

「百舌鳥」の名を持つハンター:モズ

秋になると「キィー、キィー」という甲高い鳴き声が聞こえてくることがあります。その声の主が、スズメほどの大きさながらも鋭い鉤状のくちばしを持つモズ(Lanius bucephalus)です。モズは「百舌鳥」とも書かれ、他の鳥の鳴き真似が上手なことでも知られています。

モズの最も興味深い生態は「はやにえ」でしょう。これは、捕らえたカエルや昆虫などを木の枝や有刺鉄線に突き刺しておく習性です。食料の貯蔵や、縄張りをアピールするためなど、その理由は諸説ありますが、このユニークな行動は秋の深まりとともに観察しやすくなります。農耕地や河川敷、公園の梢など、見晴らしの良い場所で探してみてください。

幸せの青い鳥?いえ、幸せのオレンジの鳥:ジョウビタキ

「ヒッ、ヒッ、カッカッ」という特徴的な鳴き声とともに、人懐っこく姿を見せてくれるのがジョウビタキ(Phoenicurus auroreus)です。オスは頭が銀色、胸から腹にかけてが鮮やかなオレンジ色という美しい姿をしています。一方、メスは全体的に落ち着いた茶褐色ですが、翼にある白い斑点は共通しており「紋付鳥」の愛称もあります。

ジョウビタキは、市街地の公園や庭先など、比較的私たちの身近な場所にもやってきます。低い枝や杭の上で尾をぷるぷると震わせながらあたりを見回している姿は、非常に愛らしく、多くのバードウォッチャーを魅了しています。縄張り意識が強く、冬の間は同じ場所で姿を見せてくれることが多いのも特徴です。静かに待っていると、案外近くまで寄ってきてくれるかもしれません。

地上で餌を探す旅鳥:ツグミ

冬鳥としてシベリアから渡ってくるツグミ(Turdus eunomus)は、他の鳥とは少し違った行動が面白い鳥です。多くの鳥が木の上で生活するのに対し、ツグミは地面を歩きながら餌を探すことを好みます。数歩歩いては胸を張って立ち止まる、という独特の動きを繰り返すので、一度見つけると比較的長く観察することができます。

「ツグミ」という名前は、渡ってきた当初は口をつぐんで鳴かないことに由来するとも言われています。春の渡りの時期になると「キョロン、キョロン」と美しい声で鳴き始めますが、秋のうちは静かなことが多いです。開けた農耕地や河川敷、芝生の広がる公園などで、群れでいることも多いので探してみましょう。

「どこでもいきものマップ」で観察記録を探してみよう

これらの渡り鳥たちが、あなたの家の近くのどこで見られるのか、気になりませんか?そんな時に役立つのが、GBIF(地球規模生物多様性情報機構)のデータを利用したウェブサービス「どこでもいきものマップ」です。このサービスを使えば、地図上で誰かが過去に記録した生物の観察情報を見ることができます。

例えば、地図をあなたの近所の公園に合わせて、検索窓に「モズ」や「ジョウビタキ」と入力してみてください。すると、その周辺での目撃情報が地図上に表示されます。渡り鳥は毎年同じような場所にやってくることが多いので、過去の記録は未来の観察ポイントを探すための大きなヒントになります。宣伝のように聞こえるかもしれませんが、実際に多くの野鳥愛好家がこうしたデータを活用して、観察計画を立てています。ぜひ一度、お出かけ前にチェックしてみてください。


秋の深まりとともに、渡り鳥たちの姿は日に日に増えていきます。今回紹介した3種以外にも、たくさんの鳥たちが日本を訪れます。双眼鏡を片手に、少しだけ空や木の枝に目を向けてみてください。きっと、あなたの日常に新たな発見と彩りを与えてくれるはずです。観察の際は、鳥たちを驚かせないように静かに行動し、地域のルールを守って楽しみましょう。